基礎知識 小ネタ集

経済指標の旬について初心者に向けてざっくり説明をしていきます

景気の良し悪しをデータで示すのが「経済指標」です。例えば、「2月の完全失業率は...」や「1月の鉱工業生産指数を受けて...」といったような言葉をニュースや新聞で見聞きしたりしたことがあるかもしれません。

経済指標は、今の経済情勢がどうなっているかをデータで示したものですから、その見方を覚えることにより、経済活動の流れを把握することができます。「見方」といいつつもそんなに難しいものではなく、過去からの時系列で把握することです。

例えば、2015年5月の男女の完全失業率は3.3%で、約18年ぶりの低水準でしたが、この数字を見ただけで、今の雇用がどうなっているのかはわからないと思います。要するに、3.3%という数字が、これまでの数字と比較して高いか低いかということが分からない限りこの3.3%という数字の意味を理解することはできません。

そこで、過去のデータをチェックすると、完全失業率の数字を把握できる限りさかのぼると、1968年11月、1969年11月、1970年3月の1.0%が最も低い数字です。高度経済成長期で日本は常に人手不足の状態だったと推測されます。その後、バブル期では一時2%水準まで下落する局面がありましたが、徐々に完全失業率は上昇しました。そして、最も悪かったのが2002年6月と8月、2003年4、2009年7月につけた5.5%でした。こうしてくると2015年の3.3%の位置づけが見えてくるかと思います。

2002年から2007年にかけて長期に景気拡大を続けていたにもかかわらずほとんどの期間で4%台で推移してきていました。そこから考えても、2015年の3.3%という完全失業率は、雇用情勢がいいことを物語っています。2021年3月現在、2.6%となっています。2015年の3.3%よりもよくなっているようには見えますがじつは14か月連続で失業者の数が増えています。過去のデータと直近のデータを比較していくと一見よくなっているように見えても、実は少しずつ悪い方向へと向かっているということも見えてきます。今の社会情勢と合わせてこれらの数字の推移をみていくのも面白いですよ!

この、景気を判断するうえでおさえておきたい経済指標6つ紹介します。

GDP(国内総生産)

経済を考えるうえで、重要となる指標の一つに、GDP(国内総生産)があります。GDPはその国の経済規模を表し、「経済のものさし」と呼ばれています。国内の経済活動に生み出される財やサービスの付加価値の合計を表します。1年前などと比べた率により、その国の成長度合いを見ます。GDPを構成する主な項目としては、「個人消費」「企業による設備投資」「政府の財政支出」「海外との輸出入」となっています。日本では個人消費が約6割を占めていることから、その動向にも注目が集まっています。

個人消費

個人消費に関する指標としては、「新築住宅着工件数」、「自動車販売額」、「百貨店売上高」、「小売業販売額」に注目していきます。いずれも対前年比との伸び率を見ます。また、基本的に、小売業販売額は日常必需品の動向を示すため、景気の浮き沈みによる影響は比較的軽微ですが、新築住宅着工件数や自動車販売額などの大型消費、あるいは百貨店売上高で示される贅沢品消費は、景気の影響を受けやすくなります。

雇用環境

雇用環境の指標は、完全失業率と有効求人倍率です。完全失業率については前述したとおりです。有効求人倍率は1倍を超えると求職者に対して求人者が多くなり(売り手市場)、1倍を下回ると求人者に対して求職者が多くなる(買い手市場)ことを意味します。

企業活動

鉱工業指数や日銀短観が代表的です。鉱工業指数は「生産」「出荷」「在庫」「在庫率」が公表されています。基本的には鉱工業生産指数の対前年比の伸び率に着目します。また、日銀短観は「業況判断DI」に注目します。これは、企業へのアンケート調査で産出されるもので、景況感の先行きが「良い」と答えた回答比から、「悪い」と答えた回答比を差し引いて求められます。日銀短観は3か月に1度の発表ですが、金融政策に大きな影響を及ぼす日銀が行っているため注目度が高い指標といえます。

物価

国内企業物価指数と消費者物価指数。いずれも発表は毎月。対前年同月比の伸び率に注目します。  国内企業物価指数は、日本国内の企業間で取引されているモノの価格水準を示しています。また、消費者物価指数は、モノやサービスなどの小売りレベルの価格水準を示しています。消費者物価指数は、一般的に季節要因や気候で価格が大きく変動する生鮮食料品を除いた数値(コアCPI)や、そこからさらにエネルギーを除いた数値(コアコアCPI)が用いられます。

金融関連

M3<:日本銀行、ゆうちょ銀行、外国銀行などほぼすべての銀行が対象、普通預金や定期預金、CD(譲渡性預金証書)の残高がいくらあるのかを調べたもの。>このM3の増加率とマネタリーベースです。また、マネタリーベースは、現金通貨と日銀の当座預金残高の増減を示しています。いずれも伸び率が高いときは、世の中全体に多くの現金が出回っていることを意味します。

まとめ

このような経済指標は、今、どれが最も注目されているかによって、マーケットの動きに影響が生じてきます。経済指標がマーケットの動きに影響を与えるということを覚えていただければ十分です。

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