ま行
マイナー
マイナーとは、ビットコインをマイニング(採掘)する個人や事業者のことを指します。マイニングには膨大な電力とコンピューターリソースを必要とするため、現在ではマイニング専用のハードウェアを何千台と保有する事業者でないかぎり、ビットコインのマイニングを行うことは難しくなっています。これらの事業者のことはマイニングファームと呼ばれており、大手10社程度で全体のマイニングシェアの90%以上を占めています。
マイニングには大量の電力を必要とするため、必然的にマイナーは電気料金や土地代などが安い中国に集中しています。どのマイナーが最新のブロックのマイニングに成功しているかは下記サイトから常にリアルタイムで確認することができます。https://btc.com/btc/blocks
マイニング
マイニングとは、和訳すると「採掘」の意味となります。仮想通貨の世界においては、ビットコインのブロックチェーンを新たに生成し、その報酬としてビットコインを手に入れる行為のことを指し、鉱山で金を採掘する作業になぞらえて「マイニング」と呼ばれています。マイニングを行う人や事業者のことは「マイナー」と呼びます。
ビットコインの取引は全てブロックチェーン上に記録されていますが、一つのブロックに入れることができる取引データには限りがあるため、ビットコインの取引量が増えるたびに新しくブロックを生成していく必要があります。
しかし、ビットコインには発行主体や管理者が存在しないため、誰かがこのブロックを生成する作業を担わないと過去の取引記録を保存しつづけることができず、ビットコインの仕組み自体が成り立ちません。そこで、ブロック生成のインセンティブを用意することで、中央の管理者なしにブロックチェーン上の記録を更新し続けています。
具体的なマイニング作業としては、まだブロックに入っていない新たなトランザクションデータを集めて、それに自分自身の報酬を含めたトランザクションデータ(コインベース)と任意の数値(ナンス)を加え、そのハッシュ値を計算するという作業となります。
このハッシュ値の先頭に0が任意に設定された個数以上並ぶとマイニングが成功し、新たなブロックが生成できるというルールになっています。この先頭に0が並んだハッシュ値を出すためには、膨大なコンピューターリソースを用いてひたすらナンスを変えて単純計算を繰り返すしかなく、多くの電力を必要とします。ビットコインでは、一つのブロック生成にだいたい10分かかるよう、先頭に並ぶ0の個数を変えることでマイニングの難易度(ディフィカルティー)を調整しています。
マイナーはマイニングに成功すると、自らブロック内に加えたコインベースの報酬とブロック内にあるすべてのトランザクションデータの手数料の合計を報酬として手にすることができます。
ビットコインのブロックチェーン上の記録は全て公開されていますので、どのマイナーが最新のブロックのマイニングに成功しているのか、そのブロック生成時のハッシュ値は何だったのか、ブロック生成までにどの程度の時間がかかったのかなどは全て下記サイトからリアルタイムで確認することが可能です。
マルチシグ(マルチシグネチャ)
ビットコインをはじめとする仮想通貨の多くにおいては「秘密鍵」と「公開鍵」という二種類の鍵を用いた公開鍵暗号方式を用いて取引を行っています。しかし、この公開鍵暗号の問題は、秘密鍵が他人の手に渡ってしまうと、簡単に仮想通貨を盗まれてしまうリスクがあるという点です。実際に過去にも複数の取引所が秘密鍵を不正にハッキングされ、大量の仮想通貨を失っています。
こうした問題を防ぐための手段が、マルチシグ(マルチシグネチャ)と呼ばれる方式です。これは、簡単に言うと取引を行う際に複数の秘密鍵が必要となる方式となります。署名に必要となる鍵の数は「2/3」のように分数で表され、この場合は事前に用意されている3つの秘密鍵のうち、2つの鍵の署名が必要という意味となります。
マルチシグにすることで、仮に一つの秘密鍵が不正に漏えいしてしまったとしてもその鍵だけでは送金を行うことができないため、ハッキングによる不正送金のリスクは減り、セキュリティが高まります。
また、3つの秘密鍵のうちマスターキーだけはネットワーク上に接続されていない安全な場所に保管しておけば、仮に一つの鍵が漏えいしたとしてももう一つの鍵で送金ができるようになります。
モバイルウォレット
モバイルウォレットは、iPhoneやAndroidのアプリをインストールして利用することができるスマートフォンのウォレットです。モバイルウォレットでは秘密鍵がスマートフォン内のみで管理されているため、ウェブウォレットよりはセキュリティも高いうえ、実際の財布のように持ち運びやすいという利点があります。モバイルウォレットではQRコードを利用できるため、店舗などで仮想通貨を利用して決済を行うときに便利です。一方で、スマートフォン自体が故障したり盗難されたりすると通貨を失ってしまうリスクもあります。
ら行
ライデンネットワーク
ライデンネットワークとは、トランザクションの処理速度向上やマイクロペイメントを実現するために、ブロックチェーンの外であるペイメントチャネル(オフチェーン)で、トランザクションを処理する技術です。ライデンネットワークは、オフチェーン上でトランザクションを処理することで、イーサリアムのスケーラビリティ問題を解決するために提案されました。
ライデンネットワークでは、仮想通貨イーサリアム(ETH)やERC-20規格トークンの複数回取引をペイメントチャネルを開いた者同士で行い、最初と最後の取引だけをブロックチェーン上に記録します。ペイメントチャネルをネットワークのように繋ぐことで、直接チャネルを開けていないユーザー同士でも高速に少額の手数料で取引可能です。例えばAさんとBさん、BさんとCさん、CさんとDさんがそれぞれ相互にペイメントチャネルでつながっていれば、AさんとDさんは直接つながっていなくてもBさんとCさんのチャネルを経由して取引することができます。
この時、AさんとDさんは、取引の途中でBさんとCさんにイーサリアムを盗まれるリスクもありますが、ライデンネットワークではそのようなリスクを暗号技術によって解決しており、お互いに信用がないユーザー同士でも安全に取引することができます。
https://github.com/raiden-network/raiden
ライトニングネットワーク
ライトニングネットワークとは、ビットコインのブロックチェーンが抱えるスケーラビリティ(拡張性)や処理速度、マイニングにかかる手数料などの課題を解決するために開発されたソリューションで、ブロックチェーンの外(オフチェーン)で取引を実行することで、少額の決済(マイクロペイメント)を高速に実行できるようにしています。
ライトニングネットワークではミリ秒単位で数千のトランザクションが可能となり、取引の最初と最後のみをブロックチェーンに記録すればよいので、オフチェーン上の取引に手数料もかからず、マイクロペイメントが可能となります。
オフチェーンによる取引としては「ペイメントチャネル」という技術がありますが、ペイメントチャネルは二者間のみの取引に限定されるため、新しい人と取引をするときはそのたびにペイメントチャネルを開ける必要があり、効率がよくありません。
その問題を解決するのがこのライトニングネットワークです。ライトニングネットワークでは、複数のペイメントチャネルをネットワークのようにつなぐことで、直接チャネルを開けていないユーザー同士でも高速に取引を行ことができます。例えばAさんとBさん、BさんとCさん、CさんとDさんがそれぞれ相互にペイメントチャネルでつながっていれば、AさんとDさんは直接つながっていなくてもBさんとCさんのチャネルを経由して取引することができます。
このとき、AさんとDさんは、取引の途中でBさんとCさんにビットコインを盗まれるリスクもありますが、ライトニングネットワークではそのようなリスクを暗号技術によって解決しており、お互いに信用がないユーザー同士でも取引することができます。
ライトニングネットワークが実用化されれば、ブロック生成に10分かかる、マイニングのたびに手数料がかかるといった現状のビットコインが抱えるブロックチェーンのスケーラビリティ(拡張性)問題が解決され、ビットコインを用いた決済が一気に広がる可能性もあります。
レイヤー2(セカンドレイヤー)
レイヤー2(セカンドレイヤー)とは、ブロックチェーン上(レイヤー1)に記載されないオフチェーンのことを指します。ビットコインのブロックチェーンは一つのブロック生成に約10分かかり、一ブロックあたりの容量も決まっているため、ビットコインの取引量が多くなると送金が滞るといったスケーラビリティ(拡張性)の問題がありました。また、全ての取引をブロックチェーン上に記録しようとするとそのたびにマイニング手数料がかかるため、少額な決済(マイクロペイメント)には向かないという弱点もありました。これらの課題を解決するために開発されたのが、レイヤー1であるブロックチェーンとは異なるレイヤー2に置かれたオフチェーンで取引を実行するという方法です。オフチェーンでの取引を実現する技術としては、二者間で複数の取引を高速に繰り返すことができる「ペイメントチャネル」という技術や、複数のペイメントチャネルをネットワークのようにつなぐことで、相互にチャネルを持たないユーザー同士でもトラストレスに取引ができる「ライトニングネットワーク」があります。